こんな方におすすめ
- 移動平均線とは何か、なぜ有効なのか、疑問に思っている方
- 移動平均線をできる限りわかりやすく解説してほしいと思っている方
移動平均線という言葉を聞いたことがありますか?株やFXを始めたばかりの人にとって、移動平均線はまず最初に目にするテクニカルチャートの一つです。ネット証券の銘柄情報や、スマホアプリのテクニカル分析指標でも、真っ先に表示されるのがこの移動平均線です。
移動平均線とは何か、そしてなぜそれが株やFXのトレードで有効なのかを解説します。この記事は、特に株やFXを始めたばかりの初心者に向けて、移動平均線についてわかりやすく説明しています。
移動平均線とは
移動平均線は、一定期間の株価の平均を線で結んだもので、株価のトレンドを把握するために使われます。たとえば、5日移動平均線は、直近5営業日の株価の平均を線でつないだものです。この線が右肩上がりなら上昇トレンド、右肩下がりなら下落トレンドと判断します。
移動平均線は、株価チャートに表示されることが多く、ローソク足と一緒に表示されることで、今後の株価の動きを予測する手助けをします。
移動平均線が右肩上がりなら上昇トレンド、右肩下がりなら下落トレンド
と判断できます。
移動平均線は、一般的にローソク足と一緒に表示されます。ローソク足とは、1日の株価の動きを表すもので、始値(その日の最初の価格)、高値、安値、終値(その日の最後の価格)が一つの棒状の図で表されています。このローソク足と移動平均線を組み合わせることで、より正確なトレンド分析が可能になります。
移動平均線の算出方法
移動平均線の計算はとても簡単です。各日の終値(その日の最後の株価)を一定期間の平均で算出します。
たとえば、5日移動平均線は次のように計算します:
- 1日目から5日目までの株価を足して5で割ると、5日目の移動平均線の値が出ます。
- 6日目には、2日目から6日目までの株価で計算し、同様に線を結んでいくことで、移動平均線が完成します。
このようにして、株価の動きが線となって現れ、トレンドを把握しやすくなります。
日足で一般的に使われるのが、5日移動平均線です。以下のように計算されています。
日数 | 株価 | 5日移動平均線の位置 | 計算 |
---|---|---|---|
1日目 | 100円 | ー | ー |
2日目 | 150円 | ー | ー |
3日目 | 200円 | ー | ー |
4日目 | 250円 | ー | ー |
5日目 | 300円 | 200 | (100+150+200+250+300)÷5 |
6日目 | 250円 | 230 | (150+200+250+300+250)÷5 |
7日目 | 200円 | 240 | (200+250+300+250+200)÷5 |
8日目 | 300円 | 260 | (200+250+300+250+300)÷5 |
9日目 | 350円 | 270 | (200+250+300+250+350)÷5 |
10日目 | 400円 | 280 | (200+250+300+250+400)÷5 |
上記の、「移動平均線の位置」の点を、線で結ぶと完成します。
このようにして、毎日移動平均線の値を計算し、その点を線でつないでいくと、株価のトレンドが視覚的にわかるようになります。
移動平均線の種類と違い
移動平均線には、いくつかの種類があります。代表的なものに単純移動平均線(SMA)と指数平滑移動平均線(EMA)があります。ここでは、この2つの違いを解説します。
単純移動平均線(SMA)
単純移動平均線(SMA)は、最も基本的な移動平均線です。先ほど説明した通り、一定期間の株価の平均を単純に計算して、その平均値を線で結んだものです。この方法は非常に簡単で、多くのトレーダーが最初に使う移動平均線です。
指数平滑移動平均線(EMA)
一方、指数平滑移動平均線(EMA)は、直近の株価により重みを置いた移動平均線です。つまり、最近の価格の動きがより強調されるため、より早くトレンドの変化に対応できるという特徴があります。ただし、その分計算が少し複雑になるため、初心者にはまずSMAを理解することをお勧めします。
トレードでの活用方法
移動平均線をどのように使えばトレードで利益を得られるのか、初心者にとっては疑問が多いでしょう。ここでは、移動平均線を使ったトレード方法をいくつか紹介します。
トレンドの把握
まず、移動平均線を使うことで、株価のトレンドを把握することができます。移動平均線が右肩上がりであれば上昇トレンド、右肩下がりであれば下落トレンドと判断できます。
トレンドを知ることは、今後株価がどう動くかを予測するのに非常に役立ちます。たとえば、上昇トレンドが続いている場合、その株を買うことで利益を得られる可能性が高いです。一方、下落トレンドの場合は、株を売るか、空売り(株価が下がることを予測して売ること)を行うことで利益を得ることができます。
トレンドの強さを判断する
移動平均線の向きだけでなく、その傾きも重要です。傾きが急であればあるほど、そのトレンドは強いと判断できます。また、短期移動平均線と長期移動平均線の位置関係も大切です。たとえば、短期移動平均線が長期移動平均線の上にある場合、強い上昇トレンドが続いていると判断できます。
上昇トレンドと下落トレンドの見分け方
移動平均線を使ったトレードの基本は、上昇トレンドと下落トレンドを見分けることです。それぞれの状況に応じたトレード戦略を持つことが重要です。
上昇トレンドの時とは
上昇トレンドのときは、株価が上がる可能性が高いので、買いのポジションを持つと良いでしょう。このトレンドが強いかどうかは次の点で判断します。
- 移動平均線が右肩上がりで、傾きが急なとき
- 短期移動平均線、中期移動平均線、長期移動平均線が順番に上から並んでいるとき
- ローソク足が移動平均線の上で推移しているとき
下落トレンドの時とは
下落トレンドのときは、株価が下がる可能性が高いので、空売りのポジションを持つと良いでしょう。この場面での買いは危険です。次の条件を確認しましょう。
- 移動平均線が右肩下がりで、傾きが急なとき
- 長期移動平均線、中期移動平均線、短期移動平均線が順番に上から並んでいるとき
- ローソク足が移動平均線の下で推移しているとき
注意すべきこと
トレンドが分かったからと言って、安易にトレードをすることは危険です。
- 線の順番やローソク足との関係がバラバラな時は、トレンドが明確でない可能性があります。
- トレンドがしっかりと出ていない場合は、取引を控えたほうが良いでしょう。
まずは上がる可能性が高いか、下がる可能性が高いか、ということを分析する指標として考えましょう。
エントリーはタイミングが大切です。
線の順番やロウソク足との関係がバラバラな時は、トレンドがしっかりと出ていない場面です。
トレンドが出ていなければ、エントリーしても横ばいやボックス圏であったりするので、あまり手を出さない方が良いでしょう。
まとめ
移動平均線は、株価のトレンドを理解するための非常に簡単で有効なツールです。株の知識が深まると、他の難しいテクニカル指標を使いたくなるかもしれませんが、移動平均線とローソク足だけでも十分に利益を出すトレードができます。
簡単だからこそ、研究や分析を怠らずに使うことで、トレードの成功率を上げることができるでしょう。