株取引のタイミングは重要！寄り付き注文と引け注文のメリット・デメリット

株式取引では、取引のタイミングが非常に重要です。同じ銘柄でも、取引する時間帯によって結果が大きく異なることがあります。そこで、取引時間帯としてよく話題に上がるのが「寄り付き」と「引け」です。この記事では、それぞれのタイミングのメリット・デメリットを詳しく解説し、さらに、どちらが自分に合った取引方法かを判断できるようにします。

そもそも「寄り付き」と「引け」って何？

株式市場には、特定のタイミングで重要な役割を果たす用語がいくつかあります。その中でも「寄り付き」と「引け」は取引の重要な時間帯を指します。まずは、これらの基本的な定義を理解しましょう。

寄り付きとは？

寄り付きとは、取引開始直後のことを指します。具体的には、東京証券取引所（東証）の前場（午前9時から11時30分）の始まりである午前9時のことです。後場（午後12時30分から3時）にも取引開始時がありますが、「寄り付き」といえば一般的には前場の取引開始時、午前9時を指します。

• 寄り付きの株価は、市場が開いた瞬間に確定されます。これは、前日までに出された売買注文が合致する価格で決まるため、その日の株式市場のスタートを象徴する価格となります。

引けとは？

引けとは、取引が終了する直前、つまり取引終了時間のことを指します。東京証券取引所では午後3時が終了時間ですが、名古屋証券取引所や福岡証券取引所では午後3時30分となっています。

• 引けの株価は、その日最後に取引が成立した株価です。投資家たちは1日の取引を終えるにあたり、この引け値を見て翌日の相場を予測したり、次の投資戦略を考えたりします。

寄り付きで取引するメリット・デメリット

寄り付きで取引を行うことには、特有のメリットとデメリットがあります。ここでは、寄り付きで取引を行う際の利点とリスクについて詳しく見ていきましょう。

寄り付きで取引するメリット

メリット1: 前日の値動きをじっくりと分析して注文できる

寄り付きのメリットの一つは、前日の株価や終値を元に、十分に考える時間を確保した上で注文できることです。株式市場は日々動いており、時には短期的なニュースや市場の変動によって価格が急激に変化することがあります。しかし、寄り付きのタイミングでは、前日までの情報をじっくりと整理し、分析した上で冷静な判断を下すことができます。

• たとえば、前日の市場の動きや、企業の決算発表などを確認した上で、次の日の寄り付きで注文を出すことができます。長期的な戦略を持つ投資家や、まだ株式取引に慣れていない初心者には、この慎重に考える時間が大きなメリットとなります。

メリット2: 翌日の動向に備えた事前準備が可能

寄り付きでは、翌日の市場の動きをある程度予測することが可能です。前日までのニュースや市場の動向を確認した上で、翌日の株価がどのように動くかを予測し、最適な取引を行うことができます。

• たとえば、企業が前日の夜に好決算を発表した場合、それを反映した寄り付きで株価が急上昇することが期待されます。このような情報を事前にチェックし、適切に対応できるのは、寄り付きでの取引の大きなメリットです。

寄り付きで取引するデメリット

デメリット1: 前日終値と大きく乖離するリスクがある

寄り付きには、前日の終値と翌日の寄り付き価格が大きく乖離するリスクが伴います。これは、前日の取引が終了した後に発生した出来事が、寄り付き価格に反映されるためです。

• たとえば、夜間に大きなニュースや地震、テロなどの予期せぬ事態が発生すると、その影響を受けて寄り付き価格が急変することがあります。また、日本市場が閉まっている間にもアメリカやヨーロッパの市場が動いており、その動向も翌日の寄り付きに影響を与えます。

デメリット2: ギャップアップやギャップダウンが発生しやすい

前日の終値と翌日の寄り付き価格が大きく異なる場合、ギャップアップやギャップダウンが発生します。

• ギャップアップ：前日の終値よりも大幅に上昇して寄り付くこと。大きなニュースや市場の期待感により起こることがあります。
• ギャップダウン：前日の終値よりも大幅に下落して寄り付くこと。悪いニュースや市場の不安要因により起こります。

これらのギャップに対応するためには、事前の情報収集や市場の動きを常にチェックしておく必要があります。

引けで取引するメリット・デメリット

次に、引けで取引を行うメリットとデメリットについて見ていきます。引けでの取引には、特に短期的なトレーダーやデイトレーダーにとって重要な要素が含まれています。

引けで取引するメリット

メリット1: 1日の値動きを確認した上での注文が可能

引けで取引する大きなメリットは、その日の値動きを全て確認した上で注文を出せる点です。ローソク足やチャートを参考にしながら、1日のトレンドを把握し、冷静に判断して取引を行うことができます。

• 特に、デイトレーダーにとっては、引け間際での取引はその日の最終的な動きを踏まえた上で行えるため、より正確な判断が可能です。

メリット2: その日のニュースや出来事を反映した取引ができる

引けでの取引は、当日の出来事を反映した売買が可能です。朝や昼のニュース、企業の発表、経済指標など、その日の動きをリアルタイムで確認し、トレードに反映することができます。

たとえば、午後に発表された重要なニュースがあれば、それをすぐに反映させて引けでの取引を行うことができます。

引けで取引するデメリット

デメリット1: 注文が約定しないリスクがある

引け間際では、全ての注文が必ずしも約定（注文が成立すること）するとは限りません。特に、指し値注文（自分が指定した価格で取引したい場合）では、注文が成立しない可能性が高くなります。市場が流動性を失い、思った通りの価格での取引が難しくなる場合があります。

• さらに、成行注文（現在の市場価格で即座に取引したい場合）でも、売りたい株や買いたい株の数が少ない場合は注文が成立しないことがあります。

デメリット2: 短時間での判断が必要になる

引けでの取引は、1日の終わりに近いタイミングで行われるため、短時間で判断を下す必要があります。特に、引け間際に発表されたニュースや価格変動に対応するためには、瞬時に情報を処理し、適切な判断をする能力が求められます。

どちらの取引が自分に合っているか？

寄り付きと引け、どちらで取引するかは、最終的には自分の投資スタイルに合わせて決めることが重要です。以下のポイントを参考に、どちらが自分に向いているかを考えてみましょう。

短期トレーダーなら「引け」を重視

短期的に利益を狙うトレーダーや、デイトレーダーであれば、引けでの取引が向いています。その日のトレンドを確認した上で、最終的な価格で取引することで、リスクを抑えたトレードが可能になります。

• 当日のニュースや動向を即座に反映させることができるため、短期的な値動きに対応しやすいのが特徴です。

長期投資家なら「寄り付き」を重視

一方、長期的に資産を運用する投資家や、初心者であれば、寄り付きでの取引が向いています。前日の情報を十分に分析し、冷静に考えた上で取引を行うことができるため、感情的な判断を避けることができます。

• 特に、長期的な視点で資産を育てたい場合や、安定したトレードを目指す場合には、寄り付きでの取引が効果的です。

まとめ：寄り付きと引け、それぞれのメリットを理解して取引しよう

株式取引において、寄り付きと引けにはそれぞれ異なるメリット・デメリットがあります。どちらを選ぶべきかは、あなたのトレードスタイルやライフスタイルに大きく依存します。

自分の取引スタイルを確立し、それに基づいた戦略を立てることが、株式市場での成功に繋がります。まずは自分に合った取引のタイミングを見つけ、安定した取引を行うことが大切です。